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新英語教育研究会神奈川支部HP

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テスト作問の観点:和田

新英研神奈川支部例会:2005.12.17
『コスモス2』(三友社出版)の読み取り 和田さつき

●教科書『コスモス2』を使ってQ&Aでの工夫を考えてみました。

(1)教科書のQuestionは「リード文+質問文」の2文構成で:
 リード文(なるべく本文をリライトする)があると英文を読む練習にもなるし、1文だけの唐突な質問文は不気味である。2文で提示するのは英語のスタイルにも合っている。スペースがないと言い訳せずに英語らしいスタイルで例文を提示したい。
例)従来のQ: Where was Van Gogh born?   
(A: He was born in Holland.)
  リード文付きQ: Van Gogh was a famous Dutch painter. Where was he born?
 (A: He was born in Holland.) DutchとHollandの関係がわかる

(2)教科書の本文の読み取りで「ここは!」というところで発問する:
 『コスモス2』Lesson 9のThe Boy Who Painted Christ Black『キリストを黒く描いた少年』(黒人作家John Henrik Clarke)で、1930年代のアメリカで小学6年の黒人少年がキリストを黒く描き、その地区の白人の指導主事がその絵を見て大激怒、黒人校長先生がその少年をかばうというくだりを読んでいた。
 黒人校長先生は白人の指導主事に向かって、Christ was born in that part of the world where most people were colored. There is a strong possibility that he could have been a black man. 「キリストは有色人種が多く住む地域で生まれたのです。キリストが黒人だったという強い可能性がある」と述べる。
 そこで「なぜわざわざcould have been(~だったのはありうる)と言っているのでしょうか? he was a black man(キリストは黒人だった)といわなかったのはなぜ?」と、発問した。
 (生徒はきょとんとしていた…しかしその発問こそが視点を提供すると私は考えている)
 そこで「キリストが黒人だった、と断言は実際にできない。したとしたらウソになる。書物にも残っていないだろうし、2000年前なので証言も得られない。だからこそ、黒人校長先生は『言える範囲で正確に誠実に述べた』のである。he could have been a black man(キリストは黒人だったのはありうる)というのはウソではない。しかしこの発言自体が1930年代のアメリカでは衝撃だったはずだ。」という趣旨の解説をした。
 権力のある人、声の大きな人に言われっぱなしでグッとなってしまって黙ってしまうのではなく、言える範囲で言う「強さ」。そういう強さを支える言語表現。これが伝わってくる箇所だと思う。

●「助動詞+完了不定詞」のテストは2択で
(1)( )内の語句をどれか1つ選び、下線部に書いて英文を完成しましょう。
1. 指導主事は「君たちの1人が大きくなってブッカー・T・ワシントンのような偉大な黒人になっても驚かない」と言った。
 The supervisor said, “I wouldn't ( be / have been )
surprised if one of you boys grew up to be a great black man, like Booker T. Washington.”
2.その絵を破ったとしても、私たちは驚かなかったろう。
  We would not ( be / have been ) surprised if he had torn up the picture.
3. 彼の言葉は講堂にいたみんなを凍りつかせたようだった。
 His words seemed to ( freeze / have frozen ) everyone in the hall.
4. キリストが黒人だったという強い可能性がある。
 There is a strong possibility that he could ( be / have been )
a black man.

●語彙(派生語)を増やす発問
Q1 Van Gogh was born in Holland. What was his nationality?
(a) German.
(b) French.
(c) Dutch. 答え(   )
   = HollandとDuchの関係がわかる設問

●語彙(派生語)を増やす発問
Q2  He started working at the age of fifteen. Did he continue his job?
(a) Yes. He never changed jobs.
(b) No, but he soon became a painter.
(c) No. He changed jobs very often. 答え(   )

Q3  When did van Gogh encounter Japanese ukiyoe prints?
(a) In 1853.
(b) In 1885.
(c) In 1886. 答え(   )
〔文章を読むと、1885年とあり、そのあとに「次の年の春」とあり、答は1886年〕

●答えの選択肢に学ばせたい表現を織り込む
Q2 How were Europeans able to get so many ukiyoe prints?
Answer: Ukiyoe prints happened to be used as wrapping paper for the pottery;
 Europeans got them
    1 accidentally(アクスィデンタリー) ( = by chance).
    2 legally(リーガリー).
   3 illegally(イリーガリー) ( = against(アゲンストゥ) the law(ロー) ).  


本文: In his painting he even imitated some of the prints, like Plum Garden at Kameido by Hiroshige. Van Gogh expanded the scale of the original print in order to put it on canvas.
Q3 How did van Gogh imitate the ukiyoe print Plum garden at Kameido?
(a) He copied it as it was.
(b) He copied it, but expanded the scale.
(c) He copied it, but painted it on a smaller scale.
                     答え(   )
・作問の観点:ゴッホは安藤広重の浮世絵「亀戸梅屋舗」を模写する際にキャンバスを方眼紙のように区切りを描いて拡大した。as it was「そのまま」、expanded the scale「寸法を拡大した」、painted it on a smaller scale「小さめの寸法で描いた」という表現に注目させる。ちなみにマニュアルのQ&AはDid Van Gogh imitate any ukiyoe prints? Yes, he did.「ゴッホは浮世絵を模写しましたか? はい、しました」 この発問ではもったいない気がする。
(エピソード:ALTのエマさんにチェックしてもらったところ、選択肢の動詞imitated[まねをした]としていたものをcopied「写した」に直してくれた。)

●文脈のある問題文(2文で提示)を!
・高3前期期末テスト(文法構文問題集fit)から:
下線部の意味としてふさわしいのは(a)(b)のどちらですか? 右に答えを書きなさい。
5. He saw a beautiful butterfly flying. He stopped to take some pictures.
(a) 彼は写真を撮るのをやめた。 答え(   )
(b) 彼は写真を撮るために立ち止まった。
・作問の観点:He stopped to smoke.「タバコを吸うために立ち止まった(作業をやめた)」とHe stopped smoking.「タバコを吸うのをやめた」だけを対比して出題することが慣例化しているが、違和感を覚える。少しでも文脈のある例文を与え、「to doはまだしていないことやこれからすること、doingはその場ですでにしていることや過去にしたこと」だと解説したい。


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